Vercelデプロイでサーバーレス関数が動かない?原因と解決策を徹底解説!

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1. はじめに:Vercelのサーバーレス関数とは?

Vercelは、Webサイトやアプリケーションを簡単にデプロイできる人気のプラットフォームです。特に、サーバーレス関数(Serverless Functions)は、バックエンドの処理をサーバーを意識せずに実行できるため、開発効率を大幅に向上させます。しかし、ローカル環境とVercelの環境の違いから、デプロイ後に予期せぬエラーが発生することがあります。

1.1. なぜローカルとVercelで動作が異なるのか?

ローカル環境とVercelの環境は、Node.jsのバージョン、OS、環境変数など、様々な点で異なります。これらの違いが、サーバーレス関数の動作に影響を与える可能性があります。

1.2. この記事で得られること

  • Vercelでサーバーレス関数が動かない主な原因
  • 具体的な解決策とデバッグ方法
  • Vercelの環境変数の設定方法
  • ローカル環境とVercel環境の差異を考慮した開発プラクティス

2. Vercelでサーバーレス関数が動かない主な原因

Vercelでサーバーレス関数が動かない原因は多岐にわたりますが、ここでは特に多い原因をいくつか紹介します。

2.1. Node.jsのバージョン不一致

Vercelで使用するNode.jsのバージョンと、ローカル環境で使用しているバージョンが異なる場合、互換性の問題が発生する可能性があります。

解決策:

{
  "version": 2,
  "builds": [
    {
      "src": "api/hello.js", // サーバーレス関数のファイルパス
      "use": "@vercel/node", // Node.jsランタイムを使用
      "config": { "nodeVersion": "16.x" } // Node.jsのバージョンを指定
    }
  ],
  "routes": [
    { "src": "/api/hello", "dest": "api/hello.js" } // APIルートの設定
  ]
}

解説:

  • nodeVersion: 使用するNode.jsのバージョンを指定します。16.xのように指定することで、16系の最新バージョンを使用できます。

2.2. 環境変数の設定ミス

Vercelでは、環境変数を設定することで、APIキーやデータベースの接続情報などを安全に管理できます。しかし、環境変数の設定ミスや、ローカル環境との差異が原因でエラーが発生することがあります。

解決策:

Vercelのダッシュボードで環境変数を正しく設定します。

  1. Vercelのプロジェクトページにアクセスします。
  2. “Settings” > “Environment Variables” を選択します。
  3. 必要な環境変数を追加し、値を設定します。

補足:

環境変数は、サーバーレス関数内でprocess.env.ENVIRONMENT_VARIABLE_NAMEのようにアクセスできます。

// 例:APIキーを環境変数から取得
const apiKey = process.env.API_KEY;

2.3. ファイルパスの間違い

Vercelにデプロイする際、ファイルパスが正しく設定されていないと、サーバーレス関数が正常に動作しません。特に、requireimportを使用している場合に注意が必要です。

解決策:

ファイルパスを相対パスまたは絶対パスで正しく指定します。

// 例:相対パスでファイルをインポート
const utils = require('./utils');

// 例:絶対パスでファイルをインポート (非推奨)
// const utils = require('/path/to/your/project/utils');

解説:

  • 相対パス: 現在のファイルからの相対的な位置を指定します。
  • 絶対パス: ファイルシステムのルートからの絶対的な位置を指定します。

注意:

絶対パスは、ローカル環境とVercel環境で異なる可能性があるため、相対パスの使用を推奨します。

2.4. 依存関係の欠落

package.jsonに記載されていない依存関係を使用している場合、Vercelにデプロイした際にエラーが発生します。

解決策:

package.jsonに必要な依存関係をすべて記載し、npm installまたはyarn installを実行します。

{
  "dependencies": {
    "axios": "^0.27.2",
    "lodash": "^4.17.21"
  }
}

解説:

  • dependencies: プロダクション環境で必要な依存関係を記載します。
  • devDependencies: 開発環境でのみ必要な依存関係を記載します。

2.5. タイムアウト

サーバーレス関数は、実行時間に制限があります。Vercelの無料プランでは、最大10秒まで実行できます。これを超えると、タイムアウトエラーが発生します。

解決策:

  • 関数の処理時間を短縮する
  • Vercelの有料プランにアップグレードする
  • 処理を分割して、複数の関数に分散する

2.6. CORS(Cross-Origin Resource Sharing)の問題

異なるオリジン(ドメイン、プロトコル、ポート)からサーバーレス関数にアクセスする場合、CORS(Cross-Origin Resource Sharing)の問題が発生する可能性があります。

解決策:

CORSの設定を適切に行います。

// 例:CORSヘッダーを設定
module.exports = (req, res) => {
  res.setHeader('Access-Control-Allow-Origin', '*'); // すべてのオリジンを許可 (本番環境では推奨されません)
  res.setHeader('Access-Control-Allow-Methods', 'GET, POST, PUT, DELETE');
  res.setHeader('Access-Control-Allow-Headers', 'Content-Type');
  res.status(200).json({ message: 'Hello from Vercel!' });
};

解説:

  • Access-Control-Allow-Origin: アクセスを許可するオリジンを指定します。*はすべてのオリジンを許可しますが、本番環境ではセキュリティ上のリスクがあるため、特定のオリジンのみを許可するように設定することを推奨します。

3. デバッグ方法

Vercelでサーバーレス関数が動かない場合、以下の方法でデバッグできます。

3.1. Vercelのログを確認する

Vercelのダッシュボードで、サーバーレス関数のログを確認できます。エラーメッセージやスタックトレースを確認することで、問題の原因を特定できます。

3.2. ローカル環境で再現する

Vercelの環境をローカル環境で再現し、デバッグすることで、問題を特定しやすくなります。

  • vercel devコマンドを使用すると、Vercelの環境をローカルでエミュレートできます。
  • 環境変数をローカル環境に設定します。

3.3. console.logを使用する

console.logを使用して、サーバーレス関数の実行中に変数の値や処理の流れを出力することで、デバッグできます。

注意:

console.logは、Vercelのログに記録されます。

4. まとめ

この記事では、Vercelでサーバーレス関数が動かない主な原因と解決策について解説しました。

  • Node.jsのバージョン不一致
  • 環境変数の設定ミス
  • ファイルパスの間違い
  • 依存関係の欠落
  • タイムアウト
  • CORSの問題

これらの原因を理解し、適切な解決策を適用することで、Vercelでのサーバーレス関数のデプロイをスムーズに行うことができます。

次のステップ:

  • Vercelのドキュメントを読んで、サーバーレス関数の詳細を理解しましょう。
  • Vercelのコミュニティに参加して、他の開発者と情報交換しましょう。
  • Vercelの有料プランを検討して、より高度な機能を利用しましょう。

Vercelを活用して、より効率的なWeb開発を実現しましょう!