Vercelで大文字・小文字を区別したルーティングは可能?設定方法を徹底解説!

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目次


1. はじめに:Vercelとルーティングの基本

1.1 Vercelとは?

Vercel(バーセル)は、フロントエンド開発者にとって非常に強力なプラットフォームです。WebサイトやWebアプリケーションを簡単にデプロイ(公開)でき、高速なパフォーマンスと優れた開発体験を提供します。特に、Next.jsやReactといったJavaScriptフレームワークとの相性が抜群で、サーバーレス関数やCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)などの機能も簡単に利用できます。

1.2 ルーティングとは?

ルーティングとは、Webサイトにアクセスしたユーザーを、適切なページに誘導する仕組みのことです。例えば、https://example.com/about にアクセスしたときに、Webサイトの「About」ページを表示するのがルーティングの役割です。

Webサイトの規模が大きくなるほど、ルーティングは複雑になります。Vercelでは、vercel.jsonという設定ファイルを使って、ルーティングを柔軟に制御できます。

2. Vercelにおけるルーティングの仕組み

Vercelのルーティングは、主にvercel.jsonファイルで設定します。このファイルで、どのURLにアクセスされたときに、どのファイルを表示するか、あるいはどこにリダイレクトするかなどを定義します。

2.1 vercel.jsonの設定

vercel.jsonは、Vercelのプロジェクトのルートディレクトリに配置する設定ファイルです。このファイルには、ルーティングだけでなく、環境変数やビルド設定など、Vercelの動作に関する様々な設定を記述できます。

ルーティングに関する主な設定項目は、routesです。routesには、URLのパターンと、それに対応する動作(リダイレクトやリライトなど)を記述します。

// vercel.jsonの例
{
  "routes": [
    {
      "src": "/about", // アクセスされるURLのパターン
      "dest": "/pages/about.html" // 表示するファイル
    }
  ]
}

この例では、/aboutにアクセスされたときに、/pages/about.htmlというファイルを表示するように設定しています。

2.2 リダイレクトとリライト

Vercelのルーティングでは、リダイレクトとリライトという2つの重要な概念があります。

  • リダイレクト(Redirect): ユーザーを別のURLに転送します。ブラウザのアドレスバーに新しいURLが表示されます。例えば、古いURLから新しいURLに移行した場合などに使用します。
  • リライト(Rewrite): 内部的に別のファイルを表示しますが、ブラウザのアドレスバーのURLは変わりません。例えば、URLを分かりやすくするために、内部的なファイル構造を隠蔽する場合などに使用します。

3. 大文字・小文字を区別したルーティングの実現方法

Vercelのデフォルトのルーティング設定では、URLの大文字・小文字は区別されません。つまり、/About/aboutは同じページとして扱われます。しかし、routes設定で正規表現(Regular Expression)を活用することで、大文字・小文字を区別したルーティングを実現できます。

3.1 routes設定での正規表現の活用

正規表現を使うと、より複雑なURLのパターンを記述できます。大文字・小文字を区別するためには、正規表現で明示的に大文字と小文字を指定する必要があります。

// vercel.jsonの例(大文字・小文字を区別)
{
  "routes": [
    {
      "src": "/About", // 大文字のAboutにアクセスされた場合
      "dest": "/pages/About.html"
    },
    {
      "src": "/about", // 小文字のaboutにアクセスされた場合
      "dest": "/pages/about.html"
    }
  ]
}

この例では、/About/aboutをそれぞれ別のファイルにマッピングしています。

3.2 Next.jsなどのフレームワークとの連携

Next.jsなどのフレームワークを使用している場合、Vercelのルーティング設定だけでなく、フレームワーク側のルーティング設定も考慮する必要があります。

Next.jsでは、pagesディレクトリ内のファイル名がURLに対応します。大文字・小文字を区別したい場合は、pagesディレクトリ内にAbout.jsabout.jsという2つのファイルを作成し、それぞれ異なる内容を記述することで実現できます。

4. 実践的な設定例

4.1 簡単なリダイレクト設定

例えば、/OldPageというURLにアクセスされたときに、/NewPageにリダイレクトする設定は以下のようになります。

// vercel.jsonの例(リダイレクト)
{
  "routes": [
    {
      "src": "/OldPage",
      "dest": "/NewPage",
      "status": 301 // 恒久的なリダイレクト
    }
  ]
}

statusはHTTPステータスコード(HTTP Status Code)を表します。301は恒久的なリダイレクトを意味します。

4.2 複雑なルーティング設定

より複雑なルーティング設定も可能です。例えば、/blog/:idというURLにアクセスされたときに、pages/blog/[id].jsというファイルを表示する設定は以下のようになります。

// vercel.jsonの例(複雑なルーティング)
{
  "routes": [
    {
      "src": "/blog/:id",
      "dest": "/pages/blog/[id].js"
    }
  ]
}

この例では、:idはパラメータ(Parameter)を表します。[id]はNext.jsの動的ルーティング(Dynamic Routing)の記法です。

5. 注意点とトラブルシューティング

5.1 キャッシュの影響

Vercelは、Webサイトのパフォーマンスを向上させるために、キャッシュ(Cache)を利用しています。ルーティング設定を変更した場合は、キャッシュをクリアしないと、変更が反映されないことがあります。Vercelのダッシュボードからキャッシュをクリアするか、デプロイメントを再度実行することで、キャッシュを更新できます。

5.2 SEOへの影響

大文字・小文字を区別したルーティングは、SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)に影響を与える可能性があります。同じ内容のページが異なるURLで存在する場合、検索エンジンが重複コンテンツ(Duplicate Content)と判断し、評価を下げる可能性があります。

SEO対策としては、以下の点に注意する必要があります。

  • canonical URL(カノニカルURL)を設定する:検索エンジンに対して、どのURLが正規のURLであるかを伝える
  • 301リダイレクトを使用する:古いURLから新しいURLに恒久的にリダイレクトする

6. まとめ:Vercelのルーティングを使いこなそう

この記事では、Vercelで大文字・小文字を区別したルーティングを実現する方法について解説しました。

  • Vercelのルーティングは、vercel.jsonファイルで設定する
  • 正規表現を活用することで、大文字・小文字を区別したルーティングが可能になる
  • Next.jsなどのフレームワークとの連携も考慮する必要がある
  • キャッシュの影響やSEOへの影響に注意する

Vercelのルーティングを使いこなすことで、Webサイトの柔軟性を高め、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。ぜひ、この記事を参考に、Vercelのルーティングをマスターしてください!

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